文学_森鴎外『高瀬舟』のあらすじ

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面白さ

まず『高瀬舟』は作者である森鴎外のバックグラウンドがあったこそ描けた作品でしょう。

医者であり、小説家であり、評論家で翻訳家であり、文系や理系という垣根を越えて頭が良い人物です。

東京大学医学部出身で、超エリートです。

そのような何でもできる超エリートの森鴎外が、この作品を通して突きつける問いは2つあります。

『足るを知る』『安楽死の是非』です。

数十ページと短い作品の中に、現代社会でも通じる『足るを知る』と『安楽死の是非』という重要な問題を描かれています。

音声で聴きたい方はこちら>>> #190 文学_森鴎外『高瀬舟』

登場人物

主に2人の人物で構成されています。

庄兵衛…初老の男。高瀬舟の船頭として働いている。
喜助…30歳くらいの男。弟殺しの罪を背負い、島流しの刑に処せられた。

あらすじ

舞台は江戸時代の京都です。

高瀬舟とは、島流しの刑の罪人を送り届ける舟です。

中でも、高瀬舟の船頭員は罪人を送り届けるため、あまり良い職とは言えません。

喜助は色白で痩せていて大人しく、他の罪人とは一風変わった様子でした。

特に変わっている点は、島流しの刑に処せられるにもかかわらず、晴れやかな様子でした。

庄兵衛は、そんな喜助に心境を尋ねます。

元の生活よりも良くなるから晴れやかなのだと答えます。

元々は、家なし、借金だらけ、仕事は安月給…。働けど働けど、豊かになりませんでした。

罪人として捕まってからは、仕事せずとも、飯はついてくるし、島という場所も与えられています。

さらには、200文*のお金もくれて最高の気分ですと答えます。*200文=6000円くらい

足るを知る


「喜助は元々極貧だったから晴れやかなのか」と庄兵衛は納得しますが、自身と比較して考えます。

庄兵衛は、高瀬舟の船頭員という定職にはついており、そこそこの給料をもらっています。

しかし、奥さんがお金持ちの娘だったので浪費家です。

結局、給料を使い切ってしまい、手元には貯金はありません。

「おれは喜助と何が違うのだろう…」と考えます。

そして、今の喜助の立場なら絶対に満足はできないという結論に至ります。

ここで、庄兵衛の気持ちに変化が生まれ喜助を尊敬します。

喜助の頭には毫光(ごうこう)が射していました。

〈毫光〉
仏の眉間 (みけん) の白毫 (びゃくごう) から四方に出る細い光。仏の智慧にたとえられる。
https://dictionary.goo.ne.jp/word/%E6%AF%AB%E5%85%89/#jn-72772


喜助は足るを知っていた」のです。

いつまでも満たされず幸せになれないような状態ではなく、喜助はわずかなお金や生活であっても満足していました。

弟殺しの真相と安楽死の是非


庄兵衛はここから喜助“さん”と呼びます。

弟殺しの罪について庄兵衛は真相を聞きます。

喜助は弟と2人暮らしで、弟は不治の病に侵されてしまいます。

ただでさえ、極貧生活にもかかわらず、弟の面倒も見て、薬代もかかり、仕事手が減る訳なので、収入が半分、支出はさらにかさむというような状態に陥ります。

それでも喜助は弟のために働きまくります。

そんなある日のこと…

喜助が仕事から帰ると血だらけの弟が横たわっていました。

弟はカミソリで首を切ったけど死にきれていない状況で、このまま殺してくれと願っていました。

弟は不治の病であり、兄である喜助に迷惑をかけたくないと自死を選んだのです。

そこで、喜助はトドメをさしました。

その一部始終を近所のおばちゃんに見られて、そのまま逮捕されたというのが弟殺しの真相でした。


庄兵衛は、喜助のような聖人を罪人として流すことはどうなのか?と疑問をいただきながら、高瀬舟を黒い水面の上をすべって行きました…。

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